日曜日よりの使者

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▼は〜っ、カツ丼食べたい!って思いながらパスタを茹で、味の濃い豚骨ラーメンすすりたい!って思いながらお米を炊く日々。少しでも食事が楽しくなるように、日本食以外も作るようにしたけど、やっぱ限界があって自分の味に飽きてきちゃった。自由に歩き回れるようになったら、きったない古びた中華料理屋で、誰が観てんだかわかんない野球中継をBGMに瓶ビールを飲みたい。そんで、焼きたての餃子をつまみながら、ちょっとべちゃっとした炒飯を食べたい。そういう美味いんだか不味いんだかよくわかんない、ああいうとぼけた味がたまに食べたくなる。気兼ねなく外食できる日はいつになるんでしょうか。

 

▼最近の楽しみはゴミ出しのついでに、ひと気のない早朝の街を散歩すること。普段通りなれた道から一本外れると、見える景色が全然違ってて、私の家から5分もしないとこに公園が2つあることをほんとつい最近知った。この部屋に越してきて、3年もするのに。家の裏にある公園のそばに、団地のような、ひと昔前のマンションがある。マンションの名前がださい、大きなガラス張りの玄関を開けるとすぐに管理人室がある、赤茶色の煉瓦の外壁、マンション内の標識に書かれたちょっと前のフォント…なんかいい。帰ってすぐにマンション名を検索し、空き部屋と家賃を調べる。結構な部屋数があるのに空室ゼロ。

 

▼「いつか生まれ変わったら、団地に住みたい」と、かつて大好きだった人にそう話したことがある。運転しながらその人は「いま団地が見えたからそう言ったんでしょう?団地妻になりたいの?」と言うとグッと深めにアクセルを踏んでスピードを上げた。なんか平和っぽくていいじゃん、ずっと日曜のお昼みたいな時間が永遠に続きそうじゃん、って言いながらエプロンをして夕飯の支度をする自分の姿を想像した。

 

▼団地には生まれ変わらなくても、住もうと思えば住める。検索結果を表示するパソコンの画面に映し出された「空室ゼロ」の文字に、どこか安心した自分がいた。