お料理行進曲
「なんていうかさ、あやこの揚げるから揚げはさあ、なんていうかパンチがないっていうか、凡庸っていうの?味に深みがないんだよね!」
元日早々、父から告げられる「あれば食べるけど、なければないで全然食べない」料理宣告を受け、己のから揚げ特訓が始まる。自宅に帰ってからも鶏肉を吟味し、調味料の配合とかずっと考えながら揚げる。そう、私は負けず嫌い。でも全然上達した気にならない。
ひとつだけ言い訳すると、ひとり暮らしだと揚げ物しないから揚げ焼きになるわけよ。そうなると平たいフライパンでやるから、火力も油もイマイチなんだよね〜。実家にある年季の入った鍋と油で揚げるから揚げが格別だった。結局、実家最強説が唱えられる。
私に足りないものは大胆さだ。思い切りが足りない、醤油や酒をぶち込むときも。どこかで遠慮がある。それはまるで自分の人生のように、どこか逃げ腰でいるこれまでの生き方を映し出すようで、なんとも言えないほろ苦さ。
何をするにせよ自分と向き合うのね〜なんて重めに考えがちな頭にワインを入れると、手放しに陽気な気持ちになる。
これからもお料理行進曲は続く。おいしいものを求めてずっとずっと。