エメラルド

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街には特別な感情が溢れすぎていて、誤って踏みつけないようにそっとつま先で歩かないといけない。小さな悪意に気づかないふり、洗濯物を取り込まなくちゃ、読みかけの漫画を早く読まないと、空いた花瓶にお花をさして、トイレットペーパーもう買った?

 

「いうことだけ聞いてればいい」「何にもわかってくれてない」「あの人に騙されちゃいけない」特別な感情を投げられても、受け入れるかはいつか決めるから、言葉はいつでも届くけど封を開けないかもしれないのであしからず。

 

ゆるい冷房をかけ静かな部屋で小さなソファーに丸まって胎児のようにこんこんと眠る。お香の甘い匂い、汗をかいた冷たい缶ビール、窓の外で揺れる洗濯物。顔をTシャツの襟に寄せると自分の胸の音が近くなる、逆光に包まれた人を思う、少し胸の音が早くなる。

 

勝手に時が過ぎるから気をつけないと。守れない約束ばかりしてしまうから。