トンボの視界は万華鏡

「あなたはBですね」

ある日突然告げられた視力Bの知らせ。数値にすると0.7ぐらい?数値じゃなくてアルファベットで視力を教えてくれるのは、うちらが住むエリアだけらしい。それをつい最近知った。

で、話は戻るけど、小学4年生のとき、それまで最高水準A(だいたい1.0以上?)を出し続けてたわけなんだけど、急に目が悪くなってしまった。理由はきっとゲームボーイのしすぎ。親から買い与えてもらったポケットモンスターがもたらす二次災害。マサラタウン、四天王、ピカチュウ。クラスの一員として馴染むための、共通言語としてのポケモン。みんなこぞってポケモンをやっていた。

ポケモンをやりすぎて視力が下がったと親が知ると、ソッコーで取り上げられてしまった。その代わりに、渡されたのはタモリのサングラス…のような視力改善装置。いまや懐かしいテレホンカード。あのカードに空いた小さな穴から外を眺めると、しっかりと焦点が絞られるためか視力が上がるっていう都市伝説のような話、ご存知ですか?それをむりやり形にしたような、無数の穴が空いたサングラス。そのサングラスを毎晩、夕飯の時にかけろとの指示。

一般家庭の食卓を覗き込むと、リトルタモリがぽつん。シュールの極み。だけど、親が言うから、私はちゃんと約束を守ろうと決心は一応した。

でも正直言わせてもらうと、このまま視力がさがればいいと思っていた。なぜなら眼鏡に憧れがあったから。だから、志なかばで眼鏡をかけられるように、夜中にこっそりゲームボーイをやってしまった。もちろんバレて、よりこっぴどく叱られた。

いまでも眼鏡に憧れがあり、男女問わず眼鏡をかける人を見ると、自然と目で追ってしまう。まあいまや視力も無事に上がってしまって、PC用眼鏡ぐらいしかかける必要ないのだけど、いまでも好きです憧れです眼鏡って存在は。